SpeakUp通報の調査に関する10のヒント

調査の実施には、慎重さが求められます。調査に関わる人々の権利と安全性を考慮し、相反する権利と利害のバランスを取るには、慎重な配慮が必要になり、相対的に抜かりのない対応を行う必要があります。SpeakUpプログラムの一環として調査を行う場合、この点が特に重要になります。効果的なSpeakUpプログラムを運用するためには、秘密性、安全性、および信頼性を確保することが不可欠です。一件でも調査の管理に手落ちがあると、プログラム自体の評判と効果に取り返しのつかない影響が及ぶ場合もあります。

このブログでは、BLOCKINTの独立系調査コンサルタント、Ludo Block氏と、SpeakUpプログラムの構築に関するPeople Intouchのスペシャリスト、Evita Slijper-Sips氏が、SpeakUpプログラムのフォローアップ調査を計画する際に忘れてはならない重要な10のヒントを伝授します。

あなたは今SpeakUpプログラムを開始しようとしています。通報を受ける準備が整ったものと仮定してください。一部の通報は、調査の対象となるでしょう。それについて具体的に検討してみましょう。

  1. 準備態勢を整える

SpeakUpプログラムを開始する前に、調査を必要とする通報が寄せられた場合のために、万全の準備ができていることを確認しましょう。準備態勢を整えるには、調査手順を確立しておく必要があります。最低でも、a) 調査のための権限と責任、b) 調査手順と方法、c) 関係者の権利、d) (個人)データへのアクセス、e) 記録管理、f) レポート作成について定義します。まずは、すぐに調査手順の草案にとりかかりましょう。これは明日にでも必要になることが考えられます。これが実際に必要になった段階で草案を作成して、労使協議会などに合意を取るのでは遅すぎます。また、調査担当者に目星をつけ、誰に連絡を取るべきかをあらかじめ把握しておくことも重要です。

  1. 調査の必要性を客観的に評価する

SpeakUp通報への対応に際し、実際に行動を起こす前に慎重に検討する必要があります。通報によっては、調査の実施が必ずしも最善策でなく、解決策にもならない場合があります。通報者の観点から通報内容を捉え、通報者がどのようなことに悩んでいるのか、どのような結果を望んでいるのかを考えてみましょう。また、公式な手順を経ることなく、問題を解決することは可能でしょうか。時には、人事スタッフが関係者と腹を割って話し合うことで、調査を実施するよりも有益な結果につながる場合があります。言い換えれば、すぐに調査に取りかかるのではなく、まずは声を上げた人の信頼に応えることに焦点を当てるのです。

  1. 柔軟で効果的な初期評価プロセスを確立する

SpeakUpプログラムの一環としての調査には、通報者の保護を目的としているという特徴があります。したがって、SpeakUp通報に関連した基本的な事実の確認が早ければ早いほど、調査の必要性を早急に決定することができ、それが通報者の保護につながります。調査を実施する必要性があると判断した場合、既に基本的な事実確認が行われているため、不必要な話合いを持たなくても、速やかに調査を開始することができます。

  1. 調査の目的を明確に公式化する

SpeakUp通報の初期評価の結果、調査が必要と判断された場合、調査の理由、主要な疑問点、および目的など、その決定について文書化することが大切です。疑問点と役割分担が適切に公式化されている場合にのみ、調査担当者は調査の実施に向けた十分なフレームワークを得ることができます。また、このフレームワークには次のような最終レポートの目的を含める必要があります。最終レポートは社内使用専用ですか、それとも法的措置に使用しますか?また、関係機関に提出することもできますか? 

  1. 「通報者」への究極的保護:通報への言及を避けることも可能

SpeakUp通報の初期評価で、通報内容を裏付ける確実な証拠が得られた場合、調査の起点としてその証拠自体を使用することを検討しましょう。通報者の関与を示すものを伏せることが、通報者への究極的な保護となります。もちろん、通報者を保護するかどうかの選択は、SpeakUp通報者と話し合って行う必要があります。

  1. 調査担当者を検討する

調査によっては、全ての調査員が持ち合わせているというわけではない特定のスキルが要求されます。さらに、ケースごとに必要なスキルとアプローチは異なります。例えば、#MeTooケースを詐欺ケースと同じように扱うことはできません。一般的には社内顧問、社内監査役、人事部長が調査を実施するケースが多いものの、このような人々が受けたトレーニングや地位は、特定の調査に必要なスキルを備えているという保証にはなりませんん。

注:コンプライアンス推進の有効性維持を目的とする場合、社内調査に社内のコンプライアンスオフィサーの協力を仰ぐことは推奨されません。

  1. 関係者に対する注意義務

SpeakUp通報に基づく調査によると、ほとんどの場合、通報には何らかの形で不正を告発された人々が関係しています。内部通報の推進に重点を置く現在の社会風潮は、糾弾された人がすぐに有罪と推定される傾向にあります。人々は、通報者がそれほどの保護を必要としているのであれば、きっと本当のこと言っているに違いないなどと考えがちです。しかしながら、内部告発が行われた組織は、通報者に対し配慮を示す義務を負っているだけでなく、不正を告発された人々に対しても間違いなく同様の配慮を示す義務を負っているのです。

SpeakUp通報は、それが善意で行われたものであっても、すべてが真実で正しいというわけではありません。通報内容が不正確、不完全な理解に基づくもの、または通報者が事実を不正行為と誤解釈している場合もよくあります。

刑事裁判に推定無罪という基本原則がありますが、嫌疑がかけられた自然人に関するいかなる調査においても、同じ推定無罪の原則を適用することが大切です。したがって、事実を確認した後は、通報で訴えられた人に(通報内容に対して)陳述を行う機会を与えるだけでなく、確認事項についてコメントする権利も与える必要があります。調査経験から、両方の言い分を聞いた上でのみ、事実の背景にある細かいニュアンスを把握することができることを学びました。

  1. 外注に出すか出さないか?

通報の調査を外注に出すか出さないかの決定には、2つの主要要素を考慮する必要があります。最初の要素は、利益相反の可能性です。通報において経営陣のメンバーによる不正行為が疑われている場合、同じ経営陣の下で社内調査を行うことが利益相反に当たらないか(利益相反と受け止められないか)を考慮する必要があります。しかし、監査委員会から外注した調査であれば、このような利益相反(と受け止められること)を避けることができます。

外注を決定する2番目の要素は、量的および質的に必要な可用性と調査能力を備えているかどうかです。すべての組織が社内調査要員を雇用できるわけではなく、むしろ調査会社に料金を支払って依頼するがはるかに効率的な場合もあります。

しかし、社内で調査要員を雇用できる場合でも、社内要員が様々な告発を調査する能力を備えているかどうかが問題になります。職場でのハラスメント対応は汚職の企みを解明することとは全く異なり、専門スキルと経験両方が必要になります。

  1. 最終レポートの回覧制限

調査レポートには、その性質上、関係者に関する詳細だけでなく、組織に属する秘密情報が含まれる場合があります。そのため、調査の完全レポートをSpeakUp通報者を含むすべての関係者に提供するかどうかを事前話し合うことは筋の通ったことだと言えます。SpeakUp通報者に対するフィードバックとしては、調査の内容、主要調査結果、状況の解決や改善のために組織が取った措置についてまとめた概要を提供することが適切かつ十分な対応となります。明確なフィードバックガイドラインを定めておけば、誤解を防ぎ、関係者の期待形成管理を行うことができます。

  1. 使用する用語を慎重に考慮する

SpeakUpプログラムの目的は、不正行為を未然に防ぎ、また早期に発見できるように、人々が声を上げることによって、組織の透明性を確保することです。そのためには、従業員からの信頼を得、彼らが安心して声を上げることができるような環境を形成することが非常に重要になります。そのため、SpeakUpプログラムに関して従業員に話す際、法律用語、複雑な公式プロセスの手順、例外事項、複雑な範囲制限、権利と義務、そして「内部告発者」といったような恐怖を煽る用語の使用を避けることをお薦めします。この意味では、「調査」もしくは「調査官」といった用語も伝達やプログラム、手順、そしてフォローアップ中に使用するのが適切かどうかを検討しましょう。社風やお国柄によっては、「事実かどうかを判断する」や「問い合わせ」といった用語の方が適している場合もあります。

SpeakUpプログラムのフォローアップ調査設定の最初の一歩に、これらのヒントが役に立つでしょう。組織はそれぞれ異なり、各司法管轄区域で求められるアプローチや遵守すべき法律も異なることを私たちは良く理解しています。何かご不明な点があれば、執筆者まで遠慮なくお問い合わせください。SpeakUpプログラムの導入および計画に関するご質問については、Evita Slijper-Sips (evitasips@peopleintouch.com) 氏までお寄せください。調査に関するあらゆるご質問(手順、トレーニング、サポート、および実際の調査施)については、Ludo Block (BLOCKINT.nl) 氏までお寄せください。

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