オンブズマンを使用しない方がよい6つの理由と、使用した方がよい方法

企業によっては、社内不正行為対応手順を構築するために、社外のオンブズマンを任命する場合があります。これには通常の場合、効率性を確保し、専門家にケースを取り扱えるという2つの意図があります。ただし、理論上は適した手段に見えても、この方法は実際には一定の効果しか得られません。検討すべきその深刻なデメリットは以下の通りです。

1:匿名通報が不可能となること

社内の不正行為を目撃した従業員は、その是正措置を望む一方で、通報により道義を通すこと以外、何の見返りも得られません。声を上げても何の得にもならないばかりか、失うものが大きすぎます。通報者として特定された場合、同僚や管理職からの報復の恐れがあるだけでなく、解雇される場合もあります。この場合、身の安全を確保する唯一の手段が匿名通報です。実際のところ、オンブズマンを介した場合、匿名性は保証されません。オンブズマンは従業員と面談することになるか、そうでない場合、最低でも従業員の身元が明らかになります。機密性が約束されていたとしても、プレッシャーのかかる状況では事態は流動的になります。相当の利害が企業にかかる場合や法的に必要になる場合は、当初の約束である機密性が守られない場合もありえます。こういう状況を理解するか、少なくとも察する従業員は、いかに事態が深刻でも、いかにその情報が貴重であっても、通報をあきらめる選択をすることが考えられます。いずれにしろ、危険を冒すよりも、用心するにこしたことはありません。

2:徐々に信頼を構築していくことが実質的に不可能なこと

オンブズマンが匿名通報を約束し、匿名通報者の通話を受けたとしても、後日その通報者に連絡を取る手段がありません。最初の通報後の対話やフォローアップのやりとりができないため、オンブズマンも通報者も最初から「全か無か」の状況に追い込まれることになります。実際、知っている内容をすべて報告できると感じるまでに、従業員は時間と安心感を必要とします。プレッシャーがかかる状況に置かれることを望む従業員はいません。自分で主導権をとり、伝えたいことを自分が望むタイミングで伝えようとするものです。匿名の権利を破棄してすべてを打ち明けてもらえるまでの信頼感を勝ち得るには、時間がかかることもあるでしょう。結果を重視する単発の短い通報電話よりもより時間がかかる可能性が高くなります。

3:オンブズマンと話せる時間が限られており、不安感を与えること

通常、オンブズマンと連絡が取れるのは勤務時間中ですが、これは正に従業員が避けたいと思う時間帯です。開放的なレイアウトのオフィスで付近の同僚の好奇心あふれる目を避けて、どちらかというと就業後や週末に連絡を取ることを望むものです。同僚たちが電話の内容に聞き耳を立てたり、謎めいたオフィス外でのミーティングに関心を持つことも考えられます。さらに、社外のオンブズマンが法律事務所に勤務する場合などは特に、従業員には安心できる存在とはならないでしょう。

4:更なる障壁: 法律事務所との連絡

「あなたの発言は、法廷で不利な証拠として使われることがあります。」 平均的な従業員が弁護士と関わるのは人生の中でもごくわずかで、ほとんどが必要性に駆られた場合のみ、もしくは望ましくない状況でのみに限られます。弁護士に敬意を抱いていても、ほとんどの人は弁護士に好んで連絡を取ることはなく、場合によっては不信感を抱いています。私が言ったことを後で問い詰められるのではないか?むしろ、言ったことが不利な証拠として使われないか?そもそも、この弁護士はどちらの味方なのか?私か会社か?利害相反がある場合はどうなるのか?会社は私のことよりも自社の利益を考えて社外の組織に私のメッセージを伝えるのでないか?といった懸念を抱きます。こういう疑念には大抵の場合、明快な答えや安心できる回答は得られません。そのため、オンブズマンが法律事務所勤務の場合、従業員が通報を行いたくなくなる理由の1つになりえるのです。

5:社外のオンブズマンは連絡が取りにくく、時間がかかること

社内の苦情処理部に比べると、社外のオンブズマンは、物理的にのみならず、会社のノウハウや人脈の点でも会社から独立した存在です。そのため、いくら法律やコンプライアンスの分野での手腕が優れていても、社外のオンブズマンは会社に関する詳細な分析情報や、社風、スタッフ、プロセスに関する理解に欠け、ケースに対して迅速かつ効果的に対応できない場合があります。また、社内の法務担当者やコンプライアンス担当者ほど状況を理解し切れていないでしょう。現実的には、通報とケースマネジメント業務を外注した場合でも、オンブズマンとクライアント企業の間でかなりの量のコミュニケーションが必要になります。その結果、社内の法務スタッフやコンプライアンススタッフが相当の時間を割かれることになります。このような余分のコミュニケ-ションが必要となるため、ケースについて必要最小限の人物にのみ知らせるよう徹底しようとしても、実際には困難を極めます。

6:世界規模でメッセージを適切に取り扱うことの難しさ

通常、多国籍企業は本社国内でパートナーレベルの取引を行う法律事務所からオンブズマンを雇います。しかし、ほとんどの法律事務所は国際グループの一部であっても、各国の国内専門の事務所とパートナー契約を結んでいます。つまり、A国で優れた関係と最高の人材を備えていても、B国、C国、D国で同じように最高の人材が得られる保証はありません。また、これらの国のパートナー会社は優先項目が異なり、それほど専門知識がない場合も考えられます。さらに、ほとんどの法律事務所は世界各国に拠点があるわけではありません。その代わり、自社で活動を行っていない国々では、さほどつながりが深くない関連事務所との関係を持っています。そのため、当然のことながら、顧客に対するフォーカスやサービスの質もまちまちになります。さらに、通報は各国語で行われるため、それぞれの国で言語上の要件があり、各国で提供されるローカル言語でのオプションの質と量もまちまちです。不正行為の通報は企業の本社ではなく、ほとんど各国の子会社レベルで行われることを考えると、この点は重要な要因になります。従って、世界のどこであっても、各地でのメッセージの取扱いを最高水準で行うことが不可欠になります。現実的には、ほとんどのオンブズマンサービスの提供会社にとって、このようなサービスを提供するのは困難です。

従業員とオンブズマンとの効果的なリンク

すべての要因を考慮すると、オンブズマンモデルを採用することは一般的に考えられているほど良いではありませんが、不可能なことでもありません。

アプローチしやすく信頼性の高い匿名での通報コミュニケーションのシステムを併用して活用することが推奨されます。地域に沿った対応で世界をカバーする優れた設計のSpeakUpラインを使用すると、メッセージを収集した後、必要に応じて翻訳が行なわれ、オンブズマンに(コンプライアンス部門を介してまたは直接)転送することができます。その後、オンブズマンがメッセージの一部またはすべてのフォローアップを行うことができます。従業員の最初のコンタクトとして、統一されたチャネルが提供されることにより、通報が奨励されることになります。さらに、従業員とオンブズマンの間でのコミュニケーションプロセスが、従業員にとってアクセスしやすく、便利で利用しやすいものとなります。また、従業員とのコミュニケーションが容易となり、ケース管理のオプションも向上するため、オンブズマンにとってもメリットがあります。さらに、現地で的確に問題検知が可能となり、中央でのケースの取扱いも実行しやすくなり、オンブズマンサービスの提供会社が各国に担当者を置く必要もなくなります。概して、適切なシステムを配備している場合は、通常オンブズマンに伴うデメリットのほとんどを回避しつつ、メリットを享受することができます。また、当社がどのシステムをお薦めするかも想像に難くないことでしょう。

エキスパートにご相談ください

詳細について学んだり、アイディアについて話し合ったり、ご意見を共有することをお望みですか?

お問い合わせ

Share this page